
こんにちは、弁護士の戸木です。
カリフォルニア州で離婚を考えている方からは、
「アメリカで離婚するのは大変なの?」
「日本とは手続きが違うと聞いて不安…」
といったご相談を多くいただきます。
カリフォルニア州の離婚は、協議離婚がない・離婚原因が不要・婚姻費用が離婚後も続くなど、日本の制度とは大きく異なるのが特徴です。
本記事では、日本語で相談可能なカリフォルニア州弁護士が、カリフォルニアと日本の離婚制度の主な違いや手続きの流れについて、 法令根拠を交えながら一般的な情報としてわかりやすく解説します。
目次
カリフォルニア州と日本の離婚制度:5つの主な違い

カリフォルニア州と日本の離婚制度には、次のような違いがあります。
| 項目 | 日本 | カリフォルニア州 |
|---|---|---|
| 離婚方法 | 協議離婚が可能 | すべて裁判離婚(裁判所の判決が必須) |
| 離婚事由 | 不貞行為など法定事由が必要 | 離婚事由は不要(いわゆる無過失離婚) |
| 婚姻費用 | 離婚成立までのみ | 離婚後も継続支払いの可能性あり |
| 親権 | 単独親権 | 共同親権が則原 |
| 手続き期間 | 役所届出のみで即日可能 | 最低6か月のクーリングオフ期間が必要 |
- ポイント
- カリフォルニアでは協議離婚の制度がなく、必ず裁判所を通す必要があります。ただし当事者同士が合意している場合は、事前に離婚協議書(MSA: Marital Settlement Agreement)を締結することで、比較的スムーズに進められます。
居住要件と管轄

カリフォルニアで離婚を申し立てるには、居住要件を確認する必要があり、以下の条件を満たしていることが求められます。
- カリフォルニア州に 6か月以上居住
- 申立てを行う郡(County)に 3か月以上居住
※法令根拠:California Family Code §2320(a)
日本側の管轄との関係
日本では、夫婦が日本に住んでいなくても、夫婦双方が日本国籍であれば離婚および財産分与に関する事件は取り扱えます(人事訴訟法3条の2第5号、同3条の12第2号、同3条の13第1項第1号)。
ただし次の場合は注意が必要です。
- 親権に関する手続は、子どもの住所が日本国内にある場合に限り取り扱い可能(家事事件手続法3条の8)
- 婚姻費用・養育費など扶養義務に関する手続は、少なくともどちらかの住所が日本国内にあることが必要(同3条の10)
したがって、夫婦と子どもの全員がカリフォルニア州に住所を有する場合、少なくとも親権・婚姻費用・養育費に関する手続はカリフォルニアの裁判所のみが管轄を持ちます。
●よくある質問
- Q. 日本で結婚した日本人夫婦でも、カリフォルニアで離婚できますか?
- A. はい。上記の居住要件を満たせば可能です。
- Q. 日本の裁判所では扱えないのですか?
- A. 夫婦と子どもがカリフォルニアに居住している場合、親権・婚姻費用・養育費はカリフォルニアの裁判所が専属管轄を持ちます。
カリフォルニア州の離婚手続きの流れ

日本では当事者同士が離婚に合意していれば、役所に離婚届を提出するだけで手続が完了します(協議離婚)。
一方でカリフォルニアでは、協議離婚という制度がなく、必ず裁判所を通し、判決によって離婚が成立します。
離婚を希望する場合は、居住する郡の家庭裁判所(Family Court)に離婚申立書(Petition for Dissolution of Marriage)を提出する必要があります。
離婚申立ての基本ステップ
- STEP 1:離婚申立書の提出
- 申立人が離婚申立書を裁判所へ提出。※カリフォルニアでは協議離婚がないため、必ず裁判所を通さなければなりません。
- STEP 2:相手方への送達
- 提出後、相手方に申立書を正式に送達。
- STEP 3:財産開示(PDD: Preliminary Declaration of Disclosure)
- 申立人:申立書提出から60日以内相手方:答弁書提出から60日以内・開示をもとに財産分与・婚姻費用・養育費を決定。・拒否した場合は召喚状(Subpoena)や罰則(ペナルティ)で強制的に開示されることもあります。
- STEP 4:合意または欠席判決
- 双方が条件に合意の場合→ 事前に離婚協議書(MSA: Marital Settlement Agreement)を作成し、その内容で判決が下されます。
- 相手方が無反応の場合 →欠席判決(Default Judgment)により、申立書の内容どおり判決が下されます。
※補足
裁判手続と聞くと複雑に感じるかもしれませんが、公式PDFフォームが公開されており、裁判所のセルフヘルプ窓口で書面作成のサポートが受けられます。
弁護士を立てていない方でも、基本的な手続は進めることができますが、手厚いサポートは期待できませんし、セルフヘルプ窓口は混雑していることが多いです。
- クーリングオフ期間(6か月)
- カリフォルニアでは、離婚申立てから離婚判決まで最低6か月の期間を置くことが義務付けられています。 これは「クーリングオフ期間(Cooling-off period)」と呼ばれ、感情的な勢いによる離婚を防ぐための制度です。
離婚原因は不要?カリフォルニア州の特徴

カリフォルニア州では、離婚の際に日本のような特定の離婚原因を証明する必要はありません。
この仕組みは「無過失離婚(No-Fault Divorce)」と呼ばれています。
離婚が認められるのは以下のいずれかの理由です(California Family Code §2310)。
- (a) 和解しがたい相違(Irreconcilable differences)により婚姻が修復不可能
- (b) 意思決定能力を永続的に欠いている
実務上は、一方が離婚を望んだ事実が(a)に該当するため、一方が離婚を望めば離婚が可能です。
- 【CHECK!】日本との比較
- 日本では、経済的に弱い側を保護するため、有責配偶者からの離婚を制限し、婚姻費用を支払う婚姻期間を延長させようという(裁判官の判断による)運用がされる場合があります。一方カリフォルニアでは、法律上、離婚後も婚姻費用(Spousal Support)の支払いを継続する制度があるため、裁判官の判断とは関係なく経済的弱者が保護される仕組みになっています。
婚姻費用と養育費について
婚姻費用(Spousal Support)や養育費(Child Support)の詳細は、カリフォルニア州における離婚について②で詳しく解説しています。
ここでは要点のみご紹介します。
- ◎婚姻費用(Spousal Support)
- ・婚姻期間が10年未満:婚姻期間の半分の期間支払が目安・婚姻期間が10年以上:原則として無期限の支払が命じられる場合あり※法令根拠:California Family Code §4300、§4330
- ◎養育費(Child Support)
- ・公的機関 DCSS(Department of Child Support Services) が申立から徴収まで支援・養育費未払いには、銀行口座差押え・税還付金の徴収・免許停止など強制措置が可能※法令根拠:California Family Code §4503、§17200; https://childsupport.ca.gov/
詳しくはカリフォルニア州における離婚について②をご覧ください。
弁護士に相談するメリット

当事務所では、次のような方から多くご相談をいただいています。
・カリフォルニアに移住した日本人夫婦
・アメリカ人と結婚したカリフォルニア在住の日本人
・ネイティブの日本語で法的相談を希望される方
弁護士が特に必要なケース
- 財産分与が複雑な場合
- 親権・養育費の取り決めが重要な場合
- 相手方が手続に協力しない場合
- 英語での法的書類作成や裁判所対応が必要な場合
当事務所の強み
- カリフォルニア州法と日本法双方の知識を活かした助言
- 日本語での丁寧な説明と迅速な手続きサポート
担当する弁護士の紹介はこちら
まとめ:カリフォルニア州で離婚をお考えの方へ
ここまで、カリフォルニア州の離婚制度について、日本との違いや手続の流れをご紹介しました。
「思ったより日本と違って驚いた」「自分のケースではどうなるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
最後に、今回のポイントを簡単に整理します。
- 【POINT!】カリフォルニア州離婚の主な特徴
- 協議離婚はなく、必ず裁判所を通す
- 最低6か月のクーリングオフ期間がある
- 離婚原因を問わない(いわゆる無過失離婚)
- 離婚後も婚姻費用の支払が継続される
- 親権は共同親権が原則
カリフォルニア州での離婚は、日本とは異なるルールや手続が多く、最初は戸惑う方がほとんどです。
まずは制度の特徴を知ることで、これからの選択がぐっと見えてきます。
個別の事情によって判断が変わるケースもありますので、不安があれば早めに専門家へご相談ください。
※このコラムは一般的な情報提供を目的としており、具体的な法的アドバイスではありません。
個別の事案については必ず弁護士にご相談ください。
- カリフォルニアの法律で、私の場合はどうなる?
- そんな疑問を持ったときこそ、早めに専門家へご相談ください。
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