サンフランシスコ・ベイエリア情報誌のbayspoにコラムが掲載されました。
アメリカは訴訟大国!?
はじめまして。弁護士の戸木と申します。初めてベイスポでコラムを書かせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
よくアメリカは「訴訟大国」と言われますよね。気になって調べてみたところ、日本では1年間に約140万件の民事訴訟が提起されているのに対し、カリフォルニアでは州裁判所と連邦裁判所を合わせて1年間に約76万件だそうです。人口を比較するとカリフォルニアは日本の約4分の1なので、割合としてはカリフォルニアでは約2倍の訴訟が提起されていることになります。
「州裁判所と連邦裁判所」と書きましたが、アメリカには2つの裁判所システムや法律(州法と連邦法)があることをご存じでしょうか。日本では法律も裁判所も1つのシステムしかないのですが、アメリカは、州がそれぞれ自治権を持っていて、それらが集まって1つの国を作り上げているので、それぞれの州が独自のシステムを持っているのが原則なのです。しかし、州をまたいだ取引や紛争が増え、州ごとのシステムが違うと問題だということで、連邦法や連邦裁判所が作られることとなりました。
そのため、弁護士の資格も州によって違いますし、州ごとに司法試験があります。なので、「米国弁護士」とだけ名乗っている人がいたら気を付けてください。米国弁護士というくくりはないので、もしかしたら無資格者かもしれません(日本ではこれを「非弁」といいます)。日本で話題になった小室圭さんは、ニューヨーク州の弁護士資格を取得されましたよね!
一方、ロサンゼルスのガーデナで「アメリカ法律相談」というサービス・ウェブサイトを運営し、離婚やビザの相談を受けている方がいらっしゃいました。よく調べてみると弁護士資格がないではありませんか。非弁だということでカリフォルニア州弁護士会に通報したところ、すぐに裁判所が訴訟を提起し、彼の事務所を営業停止にしました。色んな意味で、訴訟大国アメリカを目の当たりにさせていただいた経験です。くれぐれもお気を付けください。
さて、今回の導入はこれくらいにして、来月からは、「ハミコ(仮名・日本国籍女性)、アメリカに来る」という設定の下、彼女が日々直面する法律問題をご紹介していきたいと思います。よろしくお願いいたします。