解決事例

刑事事件で最低限の処分

朝6時、事務所のウェブサイトを通じて1件の問い合わせが入っていました。女性からの問い合わせで、読んでみると、夫のCさんが逮捕されてしまったというのでした。
すぐに電話とEメールで連絡を取り合い、午前中に拘置所に出向き、Cさんと接見し、今後の手続や見通しについて説明しました。さらに、当日の午後に、公判の初回期日の手続(起訴・罪状認否)があることが判明したため、そのまま法廷に弁護人として出廷し、必要な対応を済ませました。その後、保釈金保証業者とやり取りを行い、保釈金納付の手続をし、Cさんは当日中に保釈されました。
 
次回期日が数か月後に設定されたため、それまでに検察官から証拠の開示を受け、分析し、最終的な刑罰を軽くするための方針を策定しました。まず、被害者とされている女性自身が、軽い夫婦喧嘩にはなったものの、暴力を受けたことはないと訴えていたため、それを証拠化するために陳述書を作成しました。また、仮に有罪となった場合には、更生プログラムの受講を義務付けられることが予想されたため、先行して受講を始めることとしました。なお、Cさん自身が英語が堪能ではないということでしたので、日本においてカリフォルニア州におけるプログラムと同様のプログラムを提供している団体にお繋ぎし、日本語での受講を開始しました。
 
カリフォルニア州では、単純暴行罪(Penal Code § 243(a))は2,000ドル以下の罰金・6月以下の禁錮とされていますが、それがドメスティックバイオレンスになると2,000ドル以下の罰金・1年以下の禁錮に(同§ 243(e))、さらに傷害の程度が悪くなると6,000ドル以下の罰金・4年以下の禁錮に(同§ 273.5)、それぞれ罪が加重されています。有罪になる罪が重ければ重いほど、刑罰も重いですし、やはり気になるのはVISAや滞在資格への影響です。
 
Cさんも、起訴段階では§ 273.5に基づいて起訴されていましたが、検察官との交渉の結果、罪を認めれば、単純暴行罪よりも低い、平穏を乱した罪(Penal Code § 415)に減軽するという条件を引き出すことができました。この罪は、日本でいう迷惑防止条例違反のようなもので、法定刑も、400ドル以下の罰金・90日以下の禁錮と、非常に軽く定められています。
有罪を認めることにはなったものの、刑罰も低く、裁判費用も抑えられ、さらにVISAや滞在資格への影響もなかったので、Cさんも納得できる結果となりました。

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