カリフォルニア州に住む日本人のBさんから、相続対策をしたいという相談が入りました。アメリカに長年住んでいても、家族の話等、踏み込んだ話になると、母国語が一番話しやすいということでした。
相談当所は、通常のカリフォルニア州でのエステートプランニングを想定されていましたので、通常どおり、遺言・トラスト・POA(財産と健康に関する委任状)に加え、医療情報に関する開示承諾書と、医療に関する事前指示書を作成しました。財産を受け取る人や代理権を与えられた人が、いずれも日本に住む日本人でしたが、事務所や私は現地にありますので、何かあったときには電話やEメールで日本語でご連絡をいただければ、問題なく対応が可能です。
Cさんは日本に不動産もお持ちだったところ、ご本人はこの不動産も通常のエステートプランニングで対応するつもりでいたようでした。しかし、遺言やトラストは英語で書かかれているので日本で使うには翻訳が必要ですし、遺言の場合にはプロベート手続が必要で、日本とは異なる手続を経ることになります。これらの内容・手続を日本の法務局(場合によっては裁判所)にしっかりと説明しないと、手続を完了することができません。そのため、日本の不動産については、サンフランシスコ総領事館の領事に協力を仰ぎ、日本方式での公正証書遺言を作成することにしました。ここは日本で相続案件を多く取り扱ってきた私の経験が生き、遺言書のドラフトから署名・公証の手続まで、滞りなく進めることができました。
実際に、アメリカに住んでいた日本人が所有しているという登記になっている不動産に関して、アメリカ法に基づいて作成された遺言・トラストで名義変更しようとしても、手続が非常に煩雑で、時間と費用が膨大にかかるケースは少なくありません。Cさんはまだご健在ですが、相続手続がスムーズに完了することを祈っております。